むし歯治療
「むし歯があるのは分かっているけれど、歯医者が苦手で放置している」
「歯科治療中の痛みが苦手で、歯医者に行くのを躊躇している」
歯医者に対してこのようなマイナスイメージをお持ちの方もきっと多くいらっしゃるのではないでしょうか?
最近では、一昔前とは違って痛みを抑えるための歯科医療技術が大幅に進歩しているため、痛みをほとんど感じさせない治療ができるようになりました。
当院でも、このような技術や器具を活用し、できる限り痛みを抑えた治療を行うよう心掛けております。
痛みをなるべく抑えるために
表面麻酔
当院では、麻酔をする前に、必要に応じて「表面麻酔」という薬を使用いたします。
表面麻酔とは、歯茎に塗ることによって歯茎表面の感覚を麻痺させる薬で、これにより、麻酔針を刺した時のチクっとした痛みを軽減することが出来ます。
表面麻酔はゼリーの薬で、歯茎に塗るだけで作用しますので使用時に痛みはありません。
歯茎に薬を塗ってから約2分後くらいに歯茎が少しピリピリとした感じになり麻酔が効いてきます。
この状態で麻酔針を刺すと、針を刺した時の痛みをほとんど感じずに麻酔を行うことができます。
極細針(35ゲージ)の使用 35G
麻酔注射に使用する針は、細ければ細いほど痛みを抑えることが出来ます。
通常、歯科医療では「30ゲージ(0.25mm)」や「33ゲージ(0.2mm)」の針が使われていますが、当院では、現在日本で入手できるものの中で最も細い針「35ゲージ(0.15mm)」の針を使用しています。
これにより、麻酔時の痛みを可能な限り抑える工夫をしております。
カードリッジウオーマー
歯科治療時の麻酔において、針を刺す痛みのほかに、麻酔液を注入するときの痛みが苦手という声もよく聞きます。
この痛みが生じる原因の1つとして、麻酔薬の温度が挙げられます。
通常、麻酔液は体温よりも低い室温で保管されていますが、その冷たいままの薬液が体内に注入されると、その温度の変化により痛みを感じやすくなるのです。
当院では、麻酔液を使用する前に、カートリッジウォーマーと呼ばれる専用の機械を使って麻酔液を体温と同じぐらいの温度(約37度)に温めてから使用しています。
これにより、温度の変化による痛みの発生を抑えることが可能になります。
削る部分は最小限に
コンポジットレジン(CR)治療
むし歯を取り除いた後、削った部分を修復する方法には、従来は金属の詰め物が一般的に使われてきました。
しかし、現在では「コンポジットレジン(CR)」という材料も登場し、より短期間で、最小限の削合で治療を行うことが出来るようになりました。
コンポジットレジン修復とは、歯科用の「レジン」と呼ばれる樹脂素材を直接歯に詰めたり、盛ったりすることによって審美的に歯を修復していく方法です。
通常むし歯治療では、「インレー」という、歯を削って型を取り、詰め物を作成するやり方が一般的ですが、この方法の場合、型を取るために歯を余分に削る必要があること、また、少なくとも2回以上の通院が必要で、治療に時間がかかるというデメリットもあります。
一方、コンポジットレジン修復は、接着性の高い材料を直接歯に詰めて固めるため、形成による削合の必要がなく、削る量を抑えることができます。
コンポジットレジンは白いプラスチック素材ですので、金属の詰め物に比べて審美的にも優れているというメリットもありますが、金属の詰め物に比べて強度がやや低く、奥歯などに強い力がかかる場合には、欠けたり割れたりすることがあることに留意する必要があります。
そのため、患者さんの口の状態や治療箇所に応じて、最適な治療法を提案することが大切です。
拡大鏡による精密治療
当院ではより精密な医療を提供するため、拡大鏡を使用した歯科治療を行っております。
拡大視野で、むし歯に感染している部分と健康な部分をしっかりと確認しながら処置を進めることで、感染している部分のみを確実に除去し、健康な部分を不要に削りすぎることを防ぐことが出来ます。
また、感染部分を取りのぞいた後は、その部分を詰め物や被せ物で封鎖することでむし歯の再発を防ぎますが、この詰め物や被せ物と歯の間に肉眼では見えない微細な隙間があると、そこから細菌が侵入して再度むし歯となってしまいます。
むし歯が再発するとさらに歯を削る必要が出てしまうため、むし歯の再発を防ぐためにも、拡大視野で歯と詰め物・被せ物にすき間が出来ていないかどうかをしっかりとチェックし、適合性の良い治療を行うよう心掛けております。
う蝕検知液
むし歯治療において、最も重要なことはむし歯に感染した部分を徹底的に取り除くことです。
しかし、たとえ経験豊富な歯科医師であっても健康な歯とむし歯の部分を見分けるのは難しく、時には、むし歯を取り除くために本来削る必要のない健康な歯の部分を削ってしまったり、逆に歯を残すことを意識するがあまりに、むし歯を取り残してしまうことがあります。
そのため、当院では「う蝕検知液」と呼ばれる、むし歯に感染した部分を赤く染めることができる特殊な液体を使用しています。
視覚的に確認しながら治療を進行させることで、むし歯の取り残しを防ぎ、また健康な歯を削るリスクを最小限に抑えることが出来ます。
むし歯の早期発見に貢献する重要なツールです。
深いむし歯も、なるべく残す
むし歯が進行して歯の「ふち」しか残らない場合、通常は歯を抜く必要があります。
なぜなら、歯のふちが歯茎の中に隠れてしまっていると、きちんとした被せ物を作るのが難しく、無理に作っても根っこの部分がすぐに壊れてしまうからです。
ですが、こうした状態でも歯を残す可能性がある治療方法があります。それは、歯のふちを歯茎よりも上に持ってくる処置です。
歯のふちを歯茎よりも上に持ってくる処置には主に2つの方法があり、ひとつは「歯冠長延長術(クラウンレングスニング)」と呼ばれる方法で、もうひとつは「矯正的挺出(エキストルージョン)」という方法です。
どちらの方法を選ぶか、または両方を組み合わせるかは患者の状態によって異なりますので、ご自身にとって最適な治療法を決定するためにも十分に歯科医師と相談し、最適な治療プランを立てることが重要です。
歯冠長延長術(クラウンレングスニング)
歯冠長延長術(クラウンレングスニング)とは、歯の周りの骨を少し削り、歯茎を下げることで、歯のふちを歯茎よりも上に戻す処置を行います。
歯茎が下がってしまうという問題点もありますので一般的には奥歯の治療で用いられることが多く、前歯で行う際は下記の矯正的挺出(エキストルージョン)とおい別の治療法も一緒に行われることが多いです。
歯冠長延長術を受けた後は歯の根っこの部分が露出するため、根面カリエス(露出した歯の根っこの部分にできるむし歯)になりやすくなることがあります。しかし、適切なかぶせ物を使って歯を覆うことで、このリスクを減らすことができます。
ただし、完全にリスクがないわけではないため、治療後も歯科医院で定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、治療後の経過も注意深く観察してもらうようにしましょう。
矯正的挺出(エキストルージョン)
部分的な矯正で歯を引っ張りあげてることで、歯のふちを歯茎より上に出していく処置です。
歯冠長延長術(クラウンレングスニング)のように歯茎に傷をつけることがないため、審美的な見た目を維持することができます。
歯を引き上げるための特別な装置を一定期間口の中に装着する必要があるため、治療期間が長くなることがありますが、治療中でも見た目に支障がないように、仮歯を使用するなど配慮いたしますので、普段通りの生活を送っていただけるかと思います。
ただし、治療後も引っ張り出した歯が戻らないように固定する期間が必要ですので、治療スケジュールについて担当の歯科医師としっかりと確認するようにしましょう。