歯周病(専門治療)
日本人が歯を失う原因として最も多い「歯周病」。自覚症状のないまま歯を支えている骨が溶かされてしまうため、気づいた時には手遅れということも多くあります。
歯周病は、軽度であれば日々のブラッシングと歯科医院でのメンテナンスをしっかり行うことで症状が軽減することがほとんど。
逆に症状が重度になってしまうと、治療には外科手術などの大掛かりな治療が必要になる可能性も高いため、なるべく早期に対処することが重要です。
日本歯周病学会専門医による治療
当院では、日本歯周病学会専門医の資格を持つ院長がすべての治療を行っております。
私は、「専門医」に診てもらうメリットは、「治療の選択肢が増える」ことであると考えております。
たとえ同じ症状でも、歯科医院によって治療方針なさまざま。提案される治療方法も、きっと異なるでしょう。
治療方針の提案は、その歯科医師の知識や経験、技術に基づいて行われますので、当然、知識や経験が多く、高い技術を持っている歯科医師の方が、より多くの治療法の中から、その患者さまのニーズに合った治療をご提案することが出来ます。
近年では特に、なるべく歯を残したい、抜きたくないといったご要望をされる患者さまが多くなっているように感じます。
私はこれまで、大学病院にて、骨の再生治療が必要とされるような重度の歯周病治療を数多く経験してまいりましたので、他医院では「抜歯しかない」と診断されてしまうような難症例でも、抜かずに治すことが出来るケースもあります。
しかしながら、すべてのケースで歯を残すことが最善というわけではございませんし、その歯を残すことで逆に周りの歯や全身の健康に悪影響を及ぼしてしまうという事もありますので、どのような治療を選択するか、しっかりとメリット、デメリットをお伝えした上で治療法を選択する必要があります。
歯周病という分野に特化した専門医だからこそ、現在の歯科医療で可能な治療技術を網羅し、その中から患者さまのニーズに合う治療の選択肢をピックアップできると考えております。
他医院で治療方針を提案されたけど、別の歯科医師の意見を聞いてみたいという「セカンドオピニオン」にも対応しております。
患者さまにとって最適な治療の選択肢をご提案できるよう心がけておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。
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歯科用CTを用いた精密診断
歯科用CTとは、コンピュータを使って3Dの立体画像を作り出す技術のことです。
通常のレントゲン写真では、歯や顎の骨を2Dの平面画像でしか見ることができませんでした。しかし、歯科用CTを使うと、情報を3Dの立体画像として取得できるため、歯や顎の骨の状態だけでなく、神経や血管の位置なども詳しく把握できるようになります。
歯周病は、歯を支えるあごの骨が溶けて破壊される病気ですが、従来のレントゲン画像では、具体的にどれだけ骨が減少しているのかなど、骨の状態を細かいところまで詳細に把握することができませんでした。
しかし、CT撮影を行うことで、骨の状態を詳細に確認できるようになりました。これにより、手術が必要かどうかや、抜歯が必要かなど、治療方針をより正確に立てることができます。
また、治療後の骨の再生状態もCT画像から確認できます。これにより、治療結果を評価し、必要に応じて治療計画を調整できます。
当院では、必要に応じて CT撮影を行い、治療の精度向上に役立てております。
当院で行う歯周病治療
ブラッシング指導
ブラッシング指導とは、歯の磨き方の指導のことです。
歯の磨き方の指導というと、「子供が受けるもの」「知っているから必要ない」と思われる方も多いかもしれません。
ですが、歯磨きの仕方を知っているつもり、磨いているつもりでも、実はしっかりと磨けていないというケースも多くあります。
歯周病治療は患者さまと協力して治療を進めていくことがとても重要で、いくら高度な治療ができる専門医だったとしても、患者さまのセルフケアが不十分な場合、歯周病の克服は困難です。
このため、患者さまに正しいセルフケアの仕方を指導する「ブラッシング指導」は、歯周病治療の基盤ともいえます。
当院では、患者さまのお口の中の状態や磨き方の癖なども考慮しながら、ブラッシング方法を丁寧に指導させていただいております。
何かご質問があれば、どうぞお気軽にお尋ねください。
スケーリング
スケーリングとは、スケーラーと呼ばれる特殊な道具を使用し、歯の表面から歯垢や歯石、歯と歯の間の汚れを取り除くことをいいます。
歯石自体には毒素は含まれていませんが、歯石は微細な穴があり、そこに細菌が住み着き毒素を生成します。
この毒素が、歯茎の腫れや、周辺の骨を溶かしてしまう歯周病の原因となります。
歯石内に存在する細菌は通常の歯磨きでは取り除けないため、スケーリングにより歯石ごと細菌を取り除く必要があります。
ルートプレーニング
ルートプレーニングとは、歯の根の表面に付着した汚れを専用の器具を使って取り除き、磨いてツルツルにする処置のことを言います。
歯ぐきに隠れた歯石や細菌を取り除くことで歯ぐきの炎症を和らげ、さらに歯の根の表面をツルツルことで歯石や細菌を付きにくくすることができます。
軽度から中等度の歯周病の場合、ご自宅での歯磨きと、歯科医院でのスケーリングとルートプレーニングの治療を両方しっかり行うことで、ほとんどの症状は治療可能です。
スケーリングとルートプレーニングはセットで行うことが多く、歯周病治療を行う上で欠かせない、基本ともいえる治療です。
歯周外科治療（フラップ手術）
フラップ手術は、歯周病の進行が激しい場合や、スケーリングやルートプレーニングでは除去できないほど奥深くまで感染や炎症が広がった場合に行われる歯周病治療の一つです。
具体的には、歯ぐきの側面から歯ぐきを切り開き、歯根近くにある汚れを直接目で確認しながら除去して行きます。
フラップ手術は、歯の周りにたまった歯垢や歯石を完全に取り除くことができるのがメリットですが、その反面、外科手術を伴う処置のため、患者さまのご負担は大きくなってしまう傾向にあります。
また、症状によっては適用できないケースもありますので、担当の歯科医師とよく相談されることをおススメします。
フラップ手術のメリット
保険適用可能：一部のケースでは保険が適用される。
歯周ポケットの奥まで視覚的に清掃：目で確認しながら歯石や細菌を確実に取り除ける。
フラップ手術のデメリット：
歯茎の収縮：手術後、歯茎が下がる可能性があり、知覚過敏を引き起こすことがある。
ホームケアの重要性：適切なホームケアを行えない患者に適用すると、歯周病の進行を促進する可能性がある。
手術後の痛み：麻酔が切れた際に痛みが生じることがある。
歯周組織再生療法
歯周病によって骨が溶かされてしまった場合、溶けた骨は基本的に元に戻すことができません。そのため、これまでは歯周病で顎の骨が溶かされてしまった場合、その骨に支えられている歯を抜かざるを得ない状況にありました。
しかし、近年、歯科医学の進歩により、骨の再生が可能となる方法がいくつか開発されました。
それが「歯周組織再生療法」と呼ばれるもので、保険が適用されるものから自費治療まで、さまざまな選択肢があります。
自家骨移植（自費治療）
人工骨移植は、骨が不足している場所に人工の骨を置くことで、骨の再生を助ける方法です。
骨が不足している部分に、人工の骨の粉末を充填し、それに骨を作るための特別なシートを被せて、時間をかけて骨を再生させます。この方法は、患者に追加の手術を必要とせず、骨を移植することができるため、負担が軽減される点が利点です。
ただし、人工骨の再生能力は自分の骨に比べて低いため、成功率を高めるために、自分の骨と組み合わせて使用する場合もあります。
人工骨移植（自費治療）
自家骨移植は、骨の治療において、人工の骨を使わず、代わりに自分自身の骨を移植する方法です。
自家骨移植の大きなメリットは、自分の体内にある骨を使用するため、免疫応答や排斥のリスクが低く、信頼性が高いということが挙げられます。その結果、治療の成功率も高めることが出来ます。
一方、デメリットとしては、自分の健康な部位から骨を採取する手術が必要なため、身体への負担が大きくなるということが挙げられます。
採取部位からの回復にも時間がかかり、手術自体にもリスクが伴うことがありますので、担当医師としっかりと相談しながら治療を進める必要があります。
リグロス（保険治療も可能 ※骨移植セットの場合は自費）
「リグロス（一般名：トラフェルミン）」は、世界で初めて骨の再生を助ける成長因子を含んだ歯周組織再生薬です。
この薬は、2017年4月から保険適用の治療として認められ、進行した歯周病の治療において、歯を抜かずに再び健康な状態にする可能性が高まっています。
リグロスを使用した治療は、まずフラップ手術と呼ばれるプロセスで、歯周病の原因である歯石や汚れをしっかり取り除きます。その後、失われた骨の部分にリグロスを塗布することで、新しい骨と歯周組織を再生しようとする方法です。
現在、この治療法は主に大学病院などで行われており、保険適用も認められておりますが、上記の骨移植手術を併用して行う場合は保険適用が認められないため、自費治療となります。
ご自身の症状が保険制度の範囲内でできるかどうか、まずはお気軽にご相談にいらしていただければと思います。
禁煙指導も行っております
歯周病を進行させてしまう原因として、とても重要な要素の一つに「喫煙」が挙げられます。
喫煙の習慣があると、口腔内の免疫機能が低下し、炎症が悪化しやすくなります。また、歯ぐきの血行が悪化するため、感染の拡散が助長され、歯周組織の損傷が進行します。
特に中程度～重度の歯周病の場合、プラークコントロールに問題がなくても、喫煙が影響して歯周病が進行しているケースもあります。
そのため、歯周病を根本的に治療したい場合、禁煙は避けて通れない重要なステップになります。
また、喫煙は歯周病リスクだけではなく、心臓病や肺疾患、がんなど多くの全身的な健康リスクも増加させますので、歯周病治療を成功させるため、そして全身の健康を守るためにも、喫煙をやめることは極めて重要です。
当院では、患者さまが禁煙に成功できるようサポートしながら、一人一人の環境や状況に合わせたアドバイスをさせていただいております。
