歯周病の症状と治療法
歯周病は進行度により症状や治療法が異なります。
歯肉炎
歯茎に限局した炎症がある。歯槽骨などの支持組織の喪失がない。
小児でもよく起こる。
症状
歯茎の腫れ、歯磨き時の出血、ほとんど自覚症状がない。
治療法
丁寧なブラッシングと定期的な歯石除去で改善することが多い。
軽度歯周炎
歯肉炎が進行し、歯槽骨が溶けてしまった状態。
歯周ポケット(歯肉溝)が4㎜未満。歯槽骨吸収度が15%未満、あるいはアタッチメントレベルが3㎜未満であり、根分岐部病変がない。
症状
歯茎の腫れ、歯磨き時の出血など、自覚症状がない人も多い。
歯石が溜まっているためにフロスが通りにくい(特に下の前歯)。
口臭はあまり生じない。
治療法
ブラッシング指導
スケーリング(歯茎より上の歯石除去)
必要に応じてSRP(歯茎より下の歯石除去)
汚れがたまる原因の調査
中等度歯周炎
歯周ポケットが4㎜以上6㎜未満。
歯槽骨吸収度が15%以上33%未満、あるいはアタッチメントレベルが3㎜以上5㎜未満であり、根分岐部病変がある歯周炎。
症状
歯茎の繰り返す強い腫れ、歯磨き時の出血などの自覚症状を多くの人が感じる。
歯茎に違和感をときどき感じる(ムズムズする、かゆい感じ)。歯がしみる。
急に高級な歯磨き粉やうがい薬、ぬり薬がほしくなる。
口臭を自覚する場合も。
以前より歯並びが悪くなったと感じる。
歯磨きだけでは改善できない状態。
治療法
ブラッシング指導
スケーリング(歯茎より上の歯石除去)
SRP(歯茎より下の歯石除去)
歯周外科(再生治療含む)
重度歯周炎
歯周ポケットが6㎜以上。
歯槽骨吸収度が33%以上、あるいはアタッチメントレベルが5㎜以上であり、根分岐部病変が2度以上ある歯周炎。
症状
歯茎の繰り返す強い腫れ、歯磨き時の出血などの自覚症状を多くの人が感じる。
口臭を他者から指摘される場合も。
歯の揺れを強く感じる。しっかり咬めない。
歯磨きだけでは改善できない状態。歯茎が下がり、歯がしみる。
歯医者嫌いでも歯医者に行こうと感じる。
治療法
ブラッシング指導
スケーリング(歯茎より上の歯石除去)
SRP(歯茎より下の歯石除去)
歯周外科(再生治療含む)
動揺のある歯の固定
抜歯(末期の場合は抜くことも必要です)
歯医者に行っているのに歯周病が治らない原因
当院に来院される患者様の多くが既に定期健診に通院している方がほとんどです。
しかし、歯周病は病状により治療法が異なるため、定期的な歯石取り(スケーリング)だけではよくなることはありません。
スケーリングは軽度の歯周炎までしか効果がないからです。
では中等度以上ならSRPと歯周外科なのかというと多くの場合はそうです。
しかし、かみ合わせやタバコや被せ物の不良や飲み薬など原因が非常に多岐に渡るために、その原因を解決しなければ病状の改善がなされません。
当院では患者様一人ひとりに対してその原因を探索し、一緒に歯周病を改善、完治を目指したいと考えています。
(参考文献)
歯周治療のガイドライン2022