高齢者の口腔機能低下と栄養摂取の関係について
こんにちは、藤井寺市の駅近くの歯医者、藤井寺駅南口アールズ歯科・歯周病クリニックです。
高齢者の口腔機能低下が、栄養摂取に大きな影響を与えることは多くの研究で明らかになっています。特に、歯周病は口腔機能低下の一因となり、栄養状態を悪化させる可能性が指摘されています。今回は、高齢者の口腔機能と栄養摂取の関係性について調べました。
口腔機能の低下と栄養摂取の関係
口腔機能の低下は、咀嚼能力の低下、嚥下困難、味覚・嗅覚の低下などを引き起こします。
これにより、以下の様な影響が栄養摂取に現れます。
食種の制限
硬いものや繊維質の多い食品を避け、柔らかいものや飲み込みやすいものを選ぶ傾向になります。
摂取量の減少
咀嚼が困難になるため、食事量が減少し、エネルギーや栄養素の摂取不足につながります。
栄養バランスの偏り
柔らかいものや飲み込みやすい食品ばかりを摂取するため、栄養バランスが偏り、特定の栄養素が不足する可能性があります。
特に野菜の摂取量が減少する人が多いです。
低栄養リスクの増加
上記のような要因が複合的に作用し、低栄養のリスクが高まります。
1990年代までは、歯の状態が悪いと十分に食べることができず、栄養不足になることが一般的でした。しかし、最近の研究では、歯を失うことが、逆に肥満につながる可能性があることが明らかになってきました。
スウェーデンの大規模な研究では、歯が全くない女性は、健康な歯を持つ女性に比べて、肥満になるリスクが3倍以上高いという結果が出ています。
これは、歯を失うと、硬い食べ物を噛むことができなくなり、柔らかい高カロリーな食品を好むようになることや、心理的な影響で過食につながることが原因と考えられています。
歯周病と栄養摂取の関係
歯周病は、歯を支えている歯周組織が炎症を起こす病気です。歯周病が進行すると、歯が抜け落ちたり、咀嚼機能が低下したりします。歯周病と栄養摂取の関係は以下の通りです。
歯周病が口腔機能低下を加速
歯周病は、歯の喪失や咀嚼機能の低下を加速させ、栄養摂取への悪影響をより深刻にします。
低栄養が歯周病を悪化
低栄養状態は、免疫力の低下を引き起こし、歯周病の進行を加速させる可能性があります。
悪循環
歯周病と低栄養は相互に悪影響を与え合い、悪循環を生み出す可能性があります。
口腔機能低下がもたらす健康への影響
アメリカの研究報告では、65歳までに無歯顎者(歯が1本もない状態)になると、そうでない人と比べ、死亡率は1.5倍となり、循環器系疾患による死亡率も1.4倍となると報告しています。
口腔機能の低下と栄養不良は、高齢者の健康に様々な悪影響を及ぼします。
全身疾患のリスク増加
免疫力の低下、創傷治癒の遅延、骨粗鬆症、虚弱など、様々な疾患のリスクが高まります。
生活の質の低下
食を楽しむことができなくなり、QOL(Quality of Life)が低下する可能性があります。
要介護状態への移行
体力低下や合併症の発症により、要介護状態に移行するリスクが高まります。
口腔機能の維持・改善と栄養摂取
口腔機能の低下を防ぎ、栄養状態を改善するためには、以下の対策が重要です。
定期的な歯科検診: 歯周病などの口腔疾患を早期に発見し、治療を開始することが重要です。
口腔ケア
歯磨きや歯間ブラシなど、正しい口腔ケアを行うことで、歯周病を予防し、口腔機能を維持することができます。
栄養バランスの取れた食事
咀嚼しやすい食品を選定し、栄養バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
歯科医師や栄養士への相談
口腔機能に合わせた食事のアドバイスや、栄養指導を受けることが有効です。
参考文献
池邉一典, 高齢者の口腔機能が,栄養摂取に与える影響, 日本静脈経腸栄養学会雑誌, 31(2), 2016.
安心して治療を受けていただくために、プライバシーに配慮した個室診療になるよう設計しております。
会話内容を他の患者様に知られたくないという方はぜひ当院へお越しください。
また治療の一例はインスタグラムに載せています。
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